研究課題/領域番号 |
14370376
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
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研究分担者 |
黒澤 永 千葉大学, 医学部附属病院, 医員
吉留 博之 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10312935)
外川 明 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (80334192)
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キーワード | 肝再生 / 肝類洞内皮細胞 / VEGF / 血管内皮細胞 / 肝芽細胞 / 肝臓発生 / Angiopoietin |
研究概要 |
肝切除後の類洞内皮細胞の増殖機構を解明する目的でラット70%肝切除モデルを用い、類洞内皮細胞の再生に必須で唯一の増殖因子とされるVGEF、及びその受容体の発現を肝切除後の再生肝組織においてmRNA、さらに蛋白レベルで経時的に評価し、再生肝では、主に肝切除48-72時間後の増殖した肝細胞からVEGFの産生がおこり、類洞内皮細胞膜上の発現の亢進したFlt-1,KDR/Flk-1 receptorにparacrineに作用し、肝細胞増殖に遅れて、類洞内皮細胞の増殖を誘導、増殖肝細胞の群塊のなかに類洞内皮細胞が侵入し、正常な肝細胞と類洞の関係が回復することを示した。さらにVEGFの作用を修飾し、血管内皮細胞の発芽、増殖、成熟、安定を調節すると考えられているAngiopoietin-Tie systemに焦点を当て研究を展開した。類洞内皮細胞の増殖後には、血管内皮細胞の分化を誘導するAng-1の産生が増強、さらに肝切除120-144時間においてIto細胞からAng-2の産生が亢進を認めるものの、肝細胞からのVEGFの産生はなく、これが類洞内皮細胞のapoptosisを誘導し、類洞内皮細胞の増殖調節、類洞のリモデリングに関連しているものと考えられた。一方、肝臓の初期発生の研究としてflk-1(VEGF受容体-2)ノックアウトマウスを用いて血管内皮細胞が果たす役割について検討した。その結果血管内皮細胞は原腸細胞から肝細胞へのごく初期の分化には影響を与えないものの、肝芽細胞が増殖して肝芽を形成する際に重要な役割を果たしていることが示された。また、この血管内皮細胞の作用は、酸素供給などの血管としての機能とは独立したものであった。臓器の初期発生の機構は、組織の再生や癌化と言った他の生物学的現象と多くの共有点を持っていることから、血管内皮細胞が肝再生や癌化にも何らかの作用を有しているとも考えられた。
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