研究課題/領域番号 |
14370378
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上西 紀夫 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30126031)
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研究分担者 |
清水 伸幸 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70262128)
山口 浩和 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00242149)
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キーワード | spasmolytic polypeptide / TTF2 / spasmolytic polypeptide-expressing Metaplasia / 胃癌 / Oxyntic atrophy |
研究概要 |
胃底腺は被蓋細胞、増殖細胞、壁細胞、副細胞、主細胞とわずかな内分泌細胞からなり、増殖細胞がすべての細胞を供給Metaplasia(腸上皮化成、偽幽門化成)もこの細胞増殖帯から発生すると考えられている。ヒト残胃癌組織の免疫組織学的検討では、腸上皮化成以上にmucous metaplasiaが胃癌発癌に強く関与していることが示され、胃癌組織、mucous metaplasia共にspasmolytic polypeptide (TFF2) の発現が見られることが示された。ラット残胃癌モデルを用いた検討では、発癌率の高いモデルではspasmolytic polypeptide-exprssing metaplasia (SPEM) がみられる一方、発癌率の低いモデルでは、このSPEMは観察されないことが示された。また主細胞マーカーである内因子とspasmolytic polypeptideの二重染色により、このSPEMと主細胞の関係が示された。DMP-777を用いたマウス急性胃粘膜萎縮モデルの解析では壁細胞減少とともに主細胞、副細胞も減少し、分化マーカーに染色されない増殖細胞が爆発的に増加し、従来の増殖帯以外に胃底腺底部に出現することが示された。増殖細胞出現後、この増殖細胞が位置する胃底腺底部にSPEMが急速に出現することも示された。これらの結果は従来言われている増殖細胞と異なる増殖細胞が胃底腺底部に出現し、metaplasiaを供給している可能性を示している。さらに、胃癌発癌の慢性の粘膜変化におけるSPEMの出現をみるため、現在H.pylori感染砂ねずみ発癌モデルでの粘膜変化を経時的に観察中であり(観察期間50週)、平成15年度半ばに観察期間が終了する予定である。
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