胃癌発生の背景粘膜における胃底腺粘膜の細胞の変化を検討するため、砂ネズミのHericobacter pylori感染発癌モデルを用いて実験を施行した。すなわち、Group I:発癌物質MNUを30ppmの濃度でdrinking waterより隔週で10週間投与後、11週目にHericobacter pyloriを感染させる、Group II:発癌物質MNUを30ppmの濃度でdrinking waterより隔週で10週間投与後、Hericobacter pyloriを感染させない、Group III:発癌物質MNUを投与せず、11週目にHericobacter pyloriを感染させる、Group IV:コントロールの4群を作成した。11週、14週、20週、25週、35週、50週に犠死させ胃底腺を観察する予定で、現在35週の犠死を終了している。25週までの変化では、Hericobacter pylori感染単独群で胃底腺、幽門腺の接合部を中心に過形成性ポリープが多く観察され、その周辺粘膜には、胃底腺底部にspasmolytic polypcptide (TFF2)に染色される粘液に富む細胞、すなわちspasmolytic polypeptide-expressing metaplasia (SPEM)が観察され、主細胞の変化が周辺に発生していると考えられた。50週目の犠死は本年4月に施行する予定であり、現在、35週目に犠死させたものの胃底腺粘膜の解析、および全経過のRNAの解析を進行中である。
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