胃底腺領域の癌は萎縮性変化を背景として発生してくる。胃底腺粘膜の萎縮では、壁細胞の減少と腸上皮化成が観察される。Helicobacter felis感染マウスで壁細胞の減少とともに、胃底腺底部にブルンネル腺腫の形状に似たたTFF2(Spasmolytic Polypeptide)で染色されるMetaplasia (Spasmolytic Polypeptide Expressing Metaplasia : SPEM)が観察され、このSPEMは、ヒトのHericobacter pylori感染胃粘膜や癌周囲粘膜に観察され、胃癌発癌との関連が示唆された。壁細胞減少を呈するその他の動物モデルでも発現することが示されている。我々はラットを用いた残胃癌モデルでSPEMが観察されることを示した。さらに、残胃癌のモデルで、細胞増殖のマーカーであるPCNAの染色が本来の細胞増殖帯のみならず、胃底腺底部に観察されることを示した。この第二の細胞増殖帯に一致しSPEMが観察され、主細胞のマーカーである内因子との二重染色を示し、主細胞が変化しSPEMとなることが示唆された。Gastrin knock out miceを用いたDMP777による急性の壁細胞減少モデルでは、胃底腺底部に内因子とTFF2の二重染色を示すSPEMが発現すること、SPEMの出現はガストリンの影響を受けず、おそらく主細胞から変化することが示された。発癌過程における主細胞の変化とSPEMの発現を観察するために、Hericobacter pylori感染ネズミの発癌モデルを用いて、壁細胞減少と主細胞の変化および腫瘍の発現を経時的に観察した。
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