研究課題/領域番号 |
14370385
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶋田 裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (30216072)
|
研究分担者 |
安本 茂 神奈川県立がんセンター臨床研究所, 研究所長
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
渡辺 剛 京都大学, 医学研究科, 助手 (50293866)
|
キーワード | 正常食道上皮 / 食道上皮幹細胞 / p75 / 癌幹細胞 / 癌抑制遺伝子 / メチル化 / PGE2 / アラキドン酸 |
研究概要 |
1)ヒト正常食道上皮の長期培養系とp75を標識とした食道幹細胞侯補集団の分離培養法を確立し、食道上皮幹細胞であることの不等分裂を証明した(Oncogene 2003)。2)Dysplasiaから早期癌への経過の観察からp75陽性細胞またはp75陽性細胞から1段階分化した細胞から癌化することが明らかとなった。(投稿中)3)進行癌においてもp75陽性細胞は一定頻度で存在し、癌幹細胞としての可能性の検討を開始した。4)正常食道上皮へのSiRNAによる遺伝子ノックダウン法は遺伝子導入ベクターと組み合わせて恒常的に遺伝子をノックダウンする手技を確立した。今後、種々の遺伝子のノックダウンの予定である。5)骨髄移植モデルとNMBA発癌モデルは休止中である。6)胆汁酸、膵液成分trypsin,胃酸による食道上皮障害の検討では、時間と用量依存性の変化であることが判明した。3者混合時に最もPGE2産生が高度であり、その機構としてアラキドン酸の産生亢進が関与していることが明らかとなった。(life science in press)。7)正常食道上皮細胞に対するニコチンの接触で、ある癌抑制遺伝子のメチル化が生じることが判明し、ニコチンを排除すると、このメチル化が基に復帰することが判明した。これはメチル化特異的PCRと蛋白発現で確認された。長期接触では非可逆的であることが示唆されており、このことは喫煙による発癌機構の解明に繋がるものと考えられた。BSEによる正常細胞培養液の入手不足が生じることが予測され、新たな長期培養技術の確立にも取り組みを開始している。(678文字)
|