網羅的遺伝子発現解析による消化器がんテイラード術前化学療法

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370390
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 西山 正彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20198526)
• 研究分担者: 大瀧 慈 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20110463) ; 峠 哲哉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40034657)
• キーワード: 遺伝子発現解析 / cDNAマイクロアレイ / テイラード医療 / 抗がん剤 / normalization(標準化) / バイオインフォマティクス / 臨床研究 / 消化器がん

研究概要

研究実施計画に沿い、本年度は(A)胃がんを対象とするpaclitaxel週一回投与のphase I studyを実施し、網羅的遺伝子発現情報及び臨床応答情報の収集に努めるとともに、(B)ヒト腫瘍細胞株を用いたcDNAマイクロアレイによる遺伝子発現情報による抗がん剤効果の定量的予測系の確立研究、及び(C)重要な抗癌剤効果関連因子候補についての機能解析を行った。得られた結果・成果は以下のごとくにまとめられる。(A)paclitaxel phase I : studyは60mg/m^2のlevel1から100mg/m^2のlevel5まで進み、登録15例の詳細な遺伝子及び応答情報を集積した。MTDが確定され次第、抗がん剤応答に関連する遺伝子情報の確定作業に入る。(B)ヒト腫瘍細胞実験系:1)機能的関与が確定された11の遺伝子につき、発現情報に基づく抗癌剤効果の定量化予測式を5薬剤について確定した(論文準備中)。2)cDNAマイクロアレイの発現シグナルの標準化法を新たに開発した(特許申請準備中)。3)cDNAマイクロアレイの全発現情報から有用な目的遺伝子を抽出する手法、及びその相関構造から抗がん剤効果を予測しうる手法を開発した(特許申請準備中)。(C)抽出された遺伝子の機能解析:抗がん剤効果への深い関与が示唆されたBLC-2,DEC1,DEC2の3遺伝子について詳細な機能解析を行い、抗がん剤応答との関連性のみではなく、それらが元来有するさらに大きな生物学的意義(細胞老化との関連、低酸素応答における役割)についても明らかにした(論文発表あるいは受理済み)。

研究成果

• [文献書誌] Kumazaki, T.: "Life span shortening of normal fibroblasts by overexpression of BCL-2 : a result of potent increase in cell death"Exp Cell Res. (印刷中).
• [文献書誌] Yoshida, K.: "Future prospects of personalized chemotherapy in gastric cancer patients results of a prospective randomized pilot study"Castric cancer. (印刷中).
• [文献書誌] Sasaki, M.: "Bcl-2 in cancer and normal tissue cells as a prediction marker of response to 5-fluorouiracil"Int J Oncol.. 22. 181-186 (2003)
• [文献書誌] Miyazaki, K.: "Identification of functional hypoxia response elements in the promoter region of the DEC1 and DEC2 genes"J Biol Chem. 277. 47014-47021 (2002)
• [文献書誌] 野口琢矢: "制癌剤感受性規定遺伝子"Surgery Frontier. 10. 81-86 (2003)
• [文献書誌] 西山正彦: "cDNAマイクロアレイを用いた感受性評価のアプローチ"医薬ジャーナル. 39. 79-84 (2003)
• [文献書誌] Tanimoto, K.: "Human Genetics"Research Signpot, Kerala, India(eds. Hiyama, K.and Hiyama, E.)(印刷中).