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2002 年度 実績報告書

ヒストンアセチル化による肝再生の調節と肝細胞癌の肝内転移制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14370392
研究機関九州大学

研究代表者

島田 光生  九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10216070)

研究分担者 田中 真二  九州大学, 医学部附属病院, 助手 (30253420)
調 憲  九州大学, 医学部附属病院, 講師 (70264025)
キーワードヒストンアセチル化 / 肝再生 / 肝特異的遺伝子 / 分化誘導 / 肝切除後肝内転移モデル
研究概要

【目的】ラット70%肝切除モデルにおいて、ヒストンアセチル化が肝再生に及ぼす効果について検討した。【方法】SDラットをコントロール群(n=14)とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)投与群(n=14)の2群にわけ、コントロール群にはPBSを、TSA投与群にはTSA(100μg/kg)+PBSを毎日腹腔内投与した。初回投与1時間後に70%肝切除を施行し、肝切除後6時間, 1, 3, 7日後にそれぞれ犠死させ肝再生率、BrdU labelling index、肝特異機能遺伝子の発現を解析した。【結果】肝切除後6時間, 1, 3, 7日後の肝臓のアセチル化の状態を、アセチル化ヒストンH4抗体(UBI社)によるウエスタンブロットにて検討したところ、TSA群において高アセチル化状態となっていることを確認した。両群において体重・血液生化学データに差を認めず、投与による毒性は少ないと考えられた。また、TSA群において切除7日日の肝再生率が有意に高く(70±3%vs59±2%, p<0.005)、切除3日日(30%vs12%, P<0.01)、7日日(16%vs4%, P<0.01)のBrdU labelling indexも有意に高値であった。またTSA群では、組織所見としてmitosisが多く認められ、以上よりヒストンアセチル化により肝再生が促進されるという興味深い知見を得た。さらに、肝切除後6時間,1,3,7日後の肝臓における肝特異的遺伝子(Albumin, glutamine synthetase (GS), glutatione S-transferase π (GST-π))の発現を半定量的RT-PCRで検討したところ、TSA群において肝切除後早期の発現亢進を認めた。【まとめ・今後の予定】今回の検討により、ヒストンアセチル化は、正常肝細胞の肝再生において、肝再生を促進するとともに肝特異的遺伝子を早期に誘導するといった分化誘導作用をあわせもつという興味深い知見が得られた。現在そのメカニズム解明のため、DNAマイクロアレイを用いた包括的遺伝子解析をおこなっている。また、ドンリュウラットに、70%肝切除術施行後、ラット肝癌細胞株AH7974を1×10^5個脾臓より注入し、施行2週後に犠死させたところ、肝内に多発する腫瘍形成を認め、肝切除後肝内転移モデルを確立した。このモデルを用いた、肝切除後肝内転移におけるヒストンアセチル化の効果についても現在検討中である。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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