研究課題/領域番号 |
14370394
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
飯室 勇二 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (30252018)
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研究分担者 |
植木 孝浩 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10309461)
岩崎 剛 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10151721)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
平野 公通 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90340968)
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キーワード | 肝硬変 / 遺伝子治療 / 骨髄移植 / 肝細胞増殖因子 |
研究概要 |
本研究は、これまでの肝硬変遺伝子治療研究の概念を更に発展させ、近年注目されている多能性幹細胞が硬変肝からの臓器再生にどのように関わっているかを明らかにすることを目的としている。 【方法】C57BL/6Jマウスに50%四塩化炭素(CCL_4)を2.0ml/kgで週1回,6週連続で経口投与し障害肝モデルを作成後、全身放射線照射900cGyを施行し,多能性幹細胞のソースとして同系のLacZ transgenic mouseの骨髄細胞を5×10^6個尾静脈より移植した。また、移植後もCCL4投与は4週継続した。この系において、骨髄細胞移植後、週1回計4回にわたってヒト肝細胞増殖因子(HGF)の遺伝子導入による肝硬変治療を行い、硬変肝からの再生過程における骨髄由来幹細胞の関与を検討した。対照群としてHGF遺伝子の代わりに生食を投与した群を作製した。 【これまでの結果】HGF遺伝子の導入にはHVJリポゾーム法を用いたが、これまでどおり肝組織中および血中においてヒトHGFタンパクの有意な発現を認めた。また、HGF遺伝子導入後CCL_4投与による硬変肝の有意な改善を認めた。この硬変肝からの組織再構築過程において、LacZ標識細胞の肝組織内分布を免疫組織学的検討にて行うと、血管内皮細胞のマーカーであるFactor VIIIとLacZの分布がほぼ一致し、その他わずかであるが、肝マクロファージ、Kupffer細胞のマーカーであるBM8とLacZの分布に重なりを認めた。一方、肝星細胞、肝細胞およびoval cellにはLacZ陽性細胞を認めず、本モデルにおいては、骨髄由来細胞の血管内皮細胞への分化誘導が重要な働きを担っていることが推測された。 【考察】これまでの結果から、HGF遺伝子治療による硬変肝再構築過程に骨髄由来細胞の血管内皮細胞への分化が有意な役割を担っていることが判明し、現在骨髄由来細胞の分画の検討を進めている。
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