研究課題/領域番号 |
14370396
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 教授 (30140669)
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研究分担者 |
唐 宇飛 久留米大学, 医学部, 助手 (60268901)
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キーワード | 高度進行癌 / 第I / II相試験 / 自己活性化リンパ球 / 癌ペプチドワクチン療法 / 遺伝子発現解析 / regulatory T cell / CD4+CD25+T cell / Chemothrapy |
研究概要 |
当研究の最終年度であるが、癌免疫療法の臨床試験に登録された患者の癌組織の遺伝子発現解析を行うプロトコール(当大学医学部倫理委員会で承認済み)に基づいて検体の集積を行った。今年度の適格症例は10例であったが、遺伝子解析研究の同意が得られた患者は5例(50%)で、いずれも自己活性化リンパ球移入療法の臨床試験に登録された患者であった。しかし、同意が得られた5例のうち十分量の腫瘍組織が確保できたのは3例であり、このうち治療有効群が2例、無効群が1例であった。この結果、遺伝子解析用の腫瘍組織は有効群6例と無効群5例の計11検体であり、統計学的に比較可能な検体数の各10例以上に達することができず、今後も検体集積を重ねて遺伝子解析を実施する予定である。 一方、臨床的有効例と無効例の活性化リンパ球の性状について検討した結果、有効例であっても長期間活性化リンパ球移入療法を継続すると、その効果が減弱することが判明した。この最大の理由は、regulatory T細胞としてのCD4+CD25+T細胞が循環血中で顕著に増加し、自己免疫疾患発生を抑止する機構が働くことである。そこで、regulatory T cellの増加を抑制する目的で化学療法との併用を試みた。化学療法剤としてのパクリタキセルやTS-1を投与すると、好中球と共にCD4+CD25+T細胞も減少を示した。そこで化学療法と活性化リンパ球療法併用による臨床効果をみると、約30%の患者に腫瘍縮小効果を認め、とくに転移性肝癌患者においては70%近くの抗腫瘍効果が認められた。 以上の成績から、自己活性化リンパ球移入療法においても長期間使用することによって抑制系リンパ球が増加して抗腫瘍効果は減弱するが、これを防止するための処置としては骨髄抑制をきたさない量の抗悪性腫瘍薬を併用することであり、両者の治療効果を再度発揮することが可能になることが判明した。
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