研究概要 |
本研究では、分化転換による心筋組織再生を最終目標としてこれをめざし、分化転換に必要な遺伝子初期化刺激を探索精査し、刺激後の組織への移植により分化転換を生ずるか否か検討した。分化誘導が既に確認されている未分化幹細胞を始点として、未分化幹細胞から僅かに分化が進展した細胞を対象に逆分化誘導因子を探索する。従来培養細胞に様々な刺激を与える実験は試みられても、分化誘導を念頭に刺激後に組織内に移植される実験は未だ実施されていない。一時的に逆分化が得られても、そこに分化転換を生ずる刺激が追加されない限り一時的逆分化の存在が認識されなかった可能性が存在する。クロマチン修飾に関わるピストン脱アセチル化関連因子や分化転換に関わるとされるTGF-betaやEGFなどのサイトカイン刺激により、従来認識されていなかった逆分化が生じているのか、それに引き続く分化誘導刺激によって分化転換を完遂可能か検討することを目的とする。 最初に逆分化誘導因子の検索を行うため、胸腺Tリンパ球系前駆細胞の分離を行った。ラット胸腺を摘出し、マグネチックセルソーターでCD34+,CD31hi細胞を分離培養した。培養細胞にLacZ遺伝子を導入しmarkingを行った。続いて、クロマチン修飾に関連するピストン脱アセチル酵素を培養胸腺Tリンパ球系前駆細胞に作用させ、幹細胞が共通に有するHoechst33342排出能をフローサイトメーターで測定した。 Hoechst33342排出能を指標にピストン脱アセチル化酵素の作用条件(時間、濃度)のスクリーニングを行った。
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