研究概要 |
【緒言】 前年度に考案・開発した手術器械を使用し,食用ブタを用いた基礎的実験を施行した. 2.心腔内手術 ブタ心臓を用いた。心房に切開を加え、超音波CCDカメラ下に鏡視下手術用鉗子および剪刀を用い心房中隔に5mm程度の穴を開け心房中隔欠損モデルを作製した。欠損部にカテーテル型縫合装置を用い、フェルト片を縫合した。手術後に予定した部位に手術が施行されているかを検討した。 【結果】 モニター上では距離感の把握が困難であったが、全例予定部位に欠損モデルを作製でき、またフェルト片を縫合し得えた。カテーテル型縫合装置は把持力も十分であり、リークも認めなかった。 2.大血管手術 【対象と方法】 ブタを用い全身麻酔下に開胸開腹.バルーンカテーテルにて長さ約2cmの動脈瘤を胸部大動脈に人工的に作成し、ステントグラフトを末梢側の大動脈から挿入した.以下の2群を作成した. A群:X線透視下に左鎖骨下動脈直下にステントグラフトを留置. B群:バルーン付血管内視鏡補助下に左鎖骨下動脈直下にステントグラフトを留置. さらにB群は以下のサブグループを作成した. B1群:ステントグラフト留置のみを施行.B2群:ステントグラフトを留置後、血管吻合用カテーテルを用い中枢側のみ内膜からグラフトと宿主血管を吻合.B3群:ステントグラフトを留置後、血管吻合用カテーテルを用い中枢側及び末梢を内膜側からグラフトと宿主血管を吻合.B4群:ステントグラフトを留置後、圧着固定用カテーテルを用い内膜側からグラフトと宿主血管を吻合. 【結果及び考察】 術直後に,大動脈に切開を加えA,B群間でステントグラフト留置の正確さについて検討した.左鎖骨下動脈から留置されたステントグラフトまでの距離(の誤差)は両群間で有意差はなかった.従来のX線透視使用の留置も正確ではあるが,内視鏡使用でも正確に留置しえ今後の応用が期待された.B2,3群の血管吻合用カテーテルを用いた郡では,ステープルをかけた部分に問題となるような内膜の損傷は認められなかった.また,B4群の圧着固定後の内膜面も明らかな損傷を認めなかった.現在は遠隔期の検討を移行している.
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