本研究の目的は、非ウイルスベクター法のひとつであるDNAコーテイング金粒子カウンターショック法を用いて移植心への遺伝子導入を行うことにより、冠動脈内膜肥厚の抑制をはかることである。本年度は平成14年度からの研究計画を引き続き、DNAコーテイング金粒子カウンターショック法による移植心局所への遺伝子導入を行うための基礎的データの収集のため以下の研究を行った。 1)in vitroにおけるDNAコーテイング金粒子カウンターショック法を用いたGFP遺伝子導入および遺伝子発現の確認 DNAコーテイングプロトコールを用いてGFP遺伝子を金粒子表面へコーテイングしたものを、in vitroにおいて遺伝子導入装置(PDS-1000/Heシステム・BIO-RAD)により、COS細胞への遺伝子導入を行った。その遺伝子の発現量および発現期間についてELISA法、蛍光顕微鏡下で確認した。 2)in vitroにおけるDNAコーテイング金粒子カウンターショック法を用いたGFP遺伝子導入および遺伝子発現の確認 ラットドナー心を摘出後、保存中に上記のごとく金粒子表面へコーテイングしたGFP遺伝子をカウンターショック法を用いて遺伝子導入し、同系ラットの頸部へ異所性心移植を行った。移植後3日目に移植心を摘出し、GFP発現を確認した。同時に発現量および発現期間の検討を行った。 これまでの研究で、DNAコーテイング金粒子カウンターショック法による移植心局所への遺伝子導入が可能であることが確認された。
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