研究概要 |
C3H/HeJ(TLR-4 mutant)マウス、及び対照群としてC3H/HeN(wild type)マウスを用いて「60分間虚血+120分間再灌流」の虚血再灌流障害モデルを作製し、左室梗塞範囲(Evan's blue及びTTCによる二重染色法)、左室心筋におけるMAPK(p38、JNK、ERK)活性の測定(Western blotting法)、転写因子(AP-1、NF-κB)活性(EMSA法)、炎症性サイトカインmRNA発現(RPA法)の測定を行い、虚血再灌流障害の発症機序においるTLR-4の関与について検討を行った。 C3H/HeJ群における左室梗塞範囲はC3H/HeN群と比して有意に縮小した(C3H/HeJ vs.C3H/HeN:23.5±10.1% vs.36.7±7.6%, P<0.001)。同時にJNK活性(1.75±0.23 vs.3.48±0.64 fold increased, p<0.05)、転写因子活性(AP-1:1.02±0.37 vs.5.53±1.71 fold increased, p<0.05、NF-κB:1.75±1.10 vs.4.21±1.41 fold increased, p<0.05)も有意に抑制された。加えて炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、MCP-1)mRNA発現も抑制された。 以上より、虚血再灌流による酸化ストレスがTLR-4に作用し、JNKを介した細胞内シグナル伝達系によって心筋虚血再灌流障害が発症することを示唆した。
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