研究分担者 |
宮川 周士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90273648)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (00243220)
白倉 良太 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00116047)
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20314312)
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60303939)
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研究概要 |
末期的心不全に対する外科治療として心臓移植は確立されてきたが、ドナー不足は著しく、その解消法の1つに異種移植がある。近年、ブタをドナーとして用いる研究が進められてきているが、種差の遠いDiscordant異種移植では自然抗体による超急性拒絶反応を克服する必要がある。今回我々は、抗体抗原反応を軽減させるためにヒトの補体制御因子decay accelerating factor(DAF)を、またブタ-霊長類間異種移植におけるtarget抗原であるα1,3Galの発現を低下させるためにN-acetylglucosamiltransferase(Gnt-III)を遺伝子導入した2種類のtransgenic pig(以下、各々DAFブタ、GNTブタ)を同所性移植し、その効果を検討したので報告する。【対象と方法】6頭のブタ(10.0±4.3Kg)の心臓をRhesus monkey(4.6±0.3Kg)に同所性移植した。ドナーによって、対照群、DAF群、GNT群(各2)の3群に分けた。各移植心の生着時間と組織学的検討を行った。【結果】生着期間は、対照群21,132分、DAF群310,211分、GNT群330,480分で、DAF, GNT群ともに対照群より長かったが、ともに超急性的に拒絶された。GNT群の1頭は抜管後に心不全となり死亡した。免疫組織学的検討では、対照群ではIgG, IgMともに、DAF群では主にIgGが、GNT群では主にIgMが血管に一致して染色された。何れの心臓においても、C3, C4が血管に一致して染色された。【まとめ】DAF及びGNTブタともに生着期間を延長する事はできたが、何れも超急性的に拒絶された。DAFブタはhetero体であり、HARを抑制するためにはhomo体を用いる必要があると考えられた。GNTブタは、DAFブタとは違った機序でHARに至った可能性が示唆された。
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