研究課題
平成14年度は、家畜ブタを用いたアメロイドコンストリクターによる慢性虚血モデルを用い、骨髄穿刺により得られた自家骨髄細胞を虚血領域に移植し、その有効性と安全性を確認した。アメロイドコンストリクターを装着後4週間目には、局所心機能と局所心筋血流量は有意に低下していたが骨髄細胞移植を行うことにより4週間後には安静時の心筋血流と心機能の改善を認めた。冠動脈造影検査では、明らかに側副血行路の発達を骨髄細胞移植郡において認められた。また、ホルター心電図による解析では不整脈の発生や突然死も認めなかった。病理組織検査では、骨髄細胞移植により軟骨や骨などの異物の造成は認められなかった。これらの結果から骨髄細胞を虚血心筋に移植することで、大きな副作用を伴うことなく良好な結果が得られたが。実験によると、運動負荷と同等のドブタミン負荷のもとでは、完全な心筋血流の改善と心機能の改善は得られなかったため、骨髄移植療法をより確実で強固なものにするため血管新生因子をコードしたレトロウイルスを用いた効果的な骨髄細胞への遺伝子導入法を開発すべく検討中である。