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2002 年度 実績報告書

病原性蛋白フリー物質による被覆人工血管の開発

研究課題

研究課題/領域番号 14370415
研究機関横浜市立大学

研究代表者

野一色 泰晴  横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)

研究分担者 小菅 宇之  横浜市立大学, 医学部附属病院, 助手 (10336555)
市川 由起夫  横浜市立大学, 医学部, 助手 (70305473)
磯田 晋  横浜市立大学, 医学部附属病院, 講師 (40254172)
江畑 尚幸  (株)新道繊維, 研究開発本部, 開発主任
森 有一  早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (10288003)
キーワード人工血管 / 狂牛病 / コラーゲン / 細胞成長因子 / 超極細ポリエステル繊維 / 被覆人工血管
研究概要

布製人工血管の壁面からの漏血を予防するために、臨床では牛由来のコラーゲンもしくはゼラチンを被覆した布製人工血管が使用されている。しかしながら全世界的に狂牛病が広がりをみせるにつれて、これらの被覆材料の安全性が問われるようになった。本研究では狂牛病の原因物質とされているプリオンを含む可能性のある物質を排除した人工血管の被覆を実現するにはどのような手段があるかについて、2つの課題を掲げ、検討を行った。1つは被覆物の検討であり、2つ目は、被覆される人工血管の改良である。
被覆物の改良に関しては、それの持つべき条件の検討を行った結果、1.生体内で異物反応がないこと、2.遺伝毒性のないこと、3.病原性蛋白が含まれないこと、4.生体内で3週間程度で分解吸収されること、5.細胞親和性があること、6.細胞毒性のないこと、7.抗原性がないこと、8.滅菌可能であること、9.長期保存によっても変質しないこと、等が基本的に必要であることが判ったが、我々は人工血管の植え込みを受ける血管疾患の患者が比較的高齢者に多いことを考慮して、高齢者でも良好な治癒が得られるには、いかにすべきであるかを検討した。その結果、細胞成長因子を吸着、徐放出可能な物質が望ましいことが判った。この目標に沿って、検討をおこない、現時点では、ヒアルロンサン、ポリエチレングリコール、ポリビニールアルコールなどが候補として上がってきた。
2番目の課題の布製人工血管の改良では、たとえ被覆物が急速に消失しても大量漏血が防げること、被覆が容易であること、という基本的条件の他に、高齢者にとっても有利な基材の検討を行った。その結果、繊維を極めて細くすることで、細胞を積極的に集めることが可能であることを見いだした。ポリエステル繊維は、通常はその太さが直径で16ミクロン程度であるが、3ミクロン以下になると、細胞が積極的に寄り添うように集まってくる現象がある。この現象を活用することで、高齢者でも有利な治癒状況が得られる被覆人工血管の作製が可能であることが判明した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 野一色 泰晴: "人工血管の骨髄細胞による内皮化"Heart View. 6(10). 1494-1499 (2002)

  • [文献書誌] 野一色 泰晴: "血管の組織工学-血管壁をつくる"別冊・医学のあゆみ. 196(5). 327-331 (2002)

  • [文献書誌] 野一色 泰晴: "骨髄細胞を用いた人工血管"血管医学. 3(4). 397-404 (2002)

  • [文献書誌] Yukio Ichikawa, et al.: "Flow Dynamics in Internal Thoracic Artery Grafts 10 Years After Coronary Artery Bypass Grafting"Ann Thorac Surg. 73. 131-137 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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