研究概要 |
骨髄ストローマ細胞は、様々な間葉系細胞を作る幹細胞を有している。幹細胞からは様々な細胞が分化可能であり、臨床応用へは特異的分化誘導法の確立が必要である。また、不全臓器の機能改善をもたらすだけの細胞数が必要である。しかしながら、ヒトの細胞はげっ歯類の細胞とはことなり極めて増殖能が乏しい。 本研究では、特異的分化法の確立と幹細胞としての性質を保持しながらの増殖誘導を目標に、遺伝子導入によるCommitment/Proliferationのコントロールが可能であるか検討した。心筋細胞への初期分化に必須なNkx2.5とGATA4のcDNAを組み込んだレトロウイルスのプロデューサー細胞を作成した。それぞれに、G418,Hygromycinの薬剤耐性遺伝子を同時に組み込み、選択可能とした。マウス間葉系幹細胞として単離されたc-kit(+),CD34(+),CD140(+)の付着系細胞に上記のレトロウイルスを用いて遺伝子導入し、薬剤にてStable Transfectantsを樹立。これらの細胞を用いて、in vitroにて分化誘導の条件にて分化効率を確認した。何れの単独のTransfectantよりも、両者を有するTransfectantにて分化効率は著しく向上した。この遺伝子導入間葉系幹細胞を同系マウスの心臓に直接注入による移植を行った。現在、病理組織学的検討を行っている。 一方で、ヒト骨髄由来間葉系細胞にTelomerase/E6/E7/Bmiを遺伝子導入することで、Proliferation doublingの延長を図ることができた。また、これらの遺伝子導入細胞は、心筋細胞を含む骨・軟骨・脂肪といった間葉系細胞への分化能を保持しており、間葉系幹細胞もしくはかなり高位の前駆細胞であることが確認された。
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