研究概要 |
根治手術時,全身麻酔下に骨髄穿刺を行い、体重あたり2ccの骨髄液を採取した。上記の血液成分分離装置により完全清潔下に操作を施行した.直ちに生分解性ポリマーの導管(7X 10mm)に播種した後,組織培養液中に浸漬し,手術室内の細胞培養室にて細胞のviabilityを維持しつつ保存した.細胞培養液は10%胎仔牛血清(Sigma Chemicals, St.Louis, MO)及び1%GPS (29.2mg/mL L-glutamine, 10,000units/mL penicillin G sodium, and 10,000g/mL streptomycin, GIBCO BRL-Life Technologies, grand island, NY)を添加したDulbecco's Modified Eagle Medium (GIBCO BRL-Life Technologies, grand island, NY)を使用した.培養液に浸漬する目的は、骨髄細胞ができるだけ多くポリマー繊維に接着するように誘導することである.播種前にポリマーをファイブロネクチンで処理することにより細胞とポリマーの接着性は向上した。播種細胞数は10^6個/cm2とし,細胞播種後,約2-3時間のインキュベーションで移植手術を行った.このティッシュエンジニアリングで作成した導管を移植する際には,助手は導管を培養液に浸漬させながら移植を行った.術後約1ヶ月後に、心臓カテーテル、造影検査、心臓超音波検査を行いフォローアップは6ヶ月毎に心臓超音波検査を用いて形態学的検索及び組織過形成の有無等を経過観察した.術後遠隔期にも心臓超音波検査を施行した.今後、再手術例がでれば、再手術時に肺動脈移植部の組織片を客観的に評価した後、小組織を採取し、人工肺動脈組織と自己心肺動脈織を生化学的、生力学的、免疫組織学的に比較検討する予定である。現在まで44症例での移植が終了している。
|