研究課題/領域番号 |
14370420
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
安元 公正 産業医科大学, 医学部, 教授 (30150452)
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研究分担者 |
杉尾 賢二 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70235927)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
菅谷 将一 産業医科大学, 医学部, 助手 (40352306)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 肺癌 / 腫瘍抗原 / ペプチド / CTL / SEREX / 免疫療法 / ワクチン / 抗体 |
研究概要 |
当科で樹立した肺癌細胞株22株を用いて腫瘍抗原の同定およびその免疫応答の解析を行った。 1)細胞性免疫(CTL)が認識する腫瘍抗原の同定 肺大細胞癌症例(A904)において自己腫瘍と自己所属リンパ節リンパ球を共培養し、限界希釈法を用いて腫瘍特異的CTL clone (clone 1,2)を樹立した。CTL clone 1はHLA-A24拘束性に腫瘍共通抗原を認識し、cDNA expression cloning法により肺癌関連抗原を同定した。CTL clone 2はHLA-Cw7拘束性に自己腫瘍および他家腫瘍を認識し、同様の手法により機能未知の腫瘍関連抗原を同定した。肺腺癌症例(F1121)においても、腫瘍特異的なCTL cloneに認識される癌・精巣抗原を単離した。この抗原遺伝子は、他家肺癌細胞株において6例中5例と高頻度に発現を認めた。 2)体液性免疫が認識する腫瘍抗原の同定 腫瘍内に浸潤するB細胞が産生する抗体が腫瘍を特異的に認識する可能性があると考え、肺癌切除組織をSCIDマウスに移植したところ、マウス血清中にヒト型IgG抗体の産生を認めた。この腫瘍浸潤B細胞由来のIgG抗体をプローブとして、SEREX法用いて腫瘍抗原の探索を行った。肺大細胞癌症例(A904)より22種類の腫瘍抗原を同定した。これらの腫瘍抗原の中には、シグナル伝達に関係ある遺伝子や、P53やkinectinのような遺伝子があった。また細胞外領域もつ遺伝子が4つ含まれており、そのうち1つは腫瘍に高発現する腫瘍抗原であり抗体療法への応用が期待される。肺多形癌症例(G603)においても同様な方法でSEREX法を行い、3種類の腫瘍抗原が同定され、うち1つは癌精巣抗原(MAGE-B2)であった。細胞性免疫および液性免疫の両側面より、肺癌に対する腫瘍抗原を多数同定できた。今後、同定した腫瘍抗原の解析を進め、細胞性免疫及び液性免疫の両面から肺癌特異的免疫療法を確立したい。
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