研究概要 |
(1)GFPマウスの骨髄細胞から各種分画(CD34+細胞,Lineage-c-kit+細胞,SP(Side population)細胞など)の分離回収.本年度はFACSVantageを用いた細胞の分離回収を行った.この方法では,分離精度は良好であったが回収に時間がかかり,大量の回収を行った場合細胞のviabilityを損なうと考えられた.今後はFACSAriaや磁気細胞分離法による細胞分離を検討する必要があると考える. (2)内在性幹細胞による心筋再生(G-CSFによる拡張型心筋症(DCM)の治療).C57BL/6マウスに放射線照射後,GFPマウス由来骨髄細胞(GFP-BMC)10^6個を注入することでGFPキメラマウスとし,更にDoxorubicin (2mg/kg/回)を腹腔内注射(週2回,合計6回)によりDCM心不全モデルを作製した.このDCM-GFPキメラマウスに顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与し,心不全改善効果とそのメカニズムを検討した.Doxorubicin注射終了後,すぐにG-CSFを投与した群では8週後の生存率が82%であったのに対し,3週間後にG-CSFを投与した群および生理食塩水のみを投与した群の同時期の生存率はそれぞれ50%および63%であり早期にG-CSFを投与することが心不全の改善に有効であると考えられた.また,早期G-CSF投与群ではGFP-BMCの心臓への集積が他の2群より有意に多く,電顕所見でも心筋構造の変性が軽度であった.免疫染色で心臓に集積したGFP-BMCの一部はcardiac-troponin-I, myosin heavy chain, ANP, connexin43で陽性に染色され,BMCの一部が心筋細胞へ分化していると考えられた.
|