研究概要 |
123例のプロラクチン産生腫瘍について、下垂体ホルモン産生能の検討、及び増殖能を検討した。また、女性例21例では、クロナリテイーの解析も行った。 (A)ホルモン産生能についての検討。 123例のプロラクチン産生腫瘍のうち、61例(49%)がpure prolactinomaで、62例(51%)が多ホルモン産生腫瘍であった。多ホルモン産生腫瘍は、ホルモン産生の組み合わせにより、10種類あることが判明した。その組み合わせは、PRL+a-SU(12%), PRL+GH(12%), PRL+GH+a-SU(7%), PRL+GH+ACTH+a-SU(6%), PRL+GH+ACTH(4%), PRL+ACTH(3%), etc.であった。これより、従来からいわれていたように、プロラクチン産生腫瘍は、最も分化した腫瘍で、単一ホルモン(PRL)を分泌するものではなく、約半数の症例が、複数の下垂体ホルモンを分泌しているのだということを明らかにした。次に、(1)PRL単独産生(pure prolactinoma)群、女性8例、(2)PRL及び他の下垂体ホルモン産生群、女性13例、の合計21例につき下垂体腫瘍細胞のクロナリテイを調べた。その結果、PRL単独産生8例中7例がモノクロナール、多ホルモン産生腫瘍13例中11例がモノクロナールであることが判明した。 (B)殖能についの検討 Ki-67 labelling indexで見た増殖能は、平均=3.5%(女性=3.2%、男性=3.6%)であり、平均値を見る限り、男女差がなかった。しかし、年齢、世代別に増殖能を見ると、年齢が高い程増殖能が高いという一般の下垂体腫瘍の傾向と比べると、女性の場合は明らかに異なり、生殖年齢の若いときには増殖能が高く、閉経頃より増殖能は低くなるという、年齢と増殖能とが逆相関の関係にあるという際だった特徴があることがことが判明した。
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