研究課題/領域番号 |
14370427
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 英明 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70236305)
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研究分担者 |
山中 龍也 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (20323991)
森 宏 新潟大学, 脳研究所, 講師 (70291359)
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / ハイパーサミア / シミュレーション / 温度分布 / RF / 二次元有限要素解析法 / 組織内加温 |
研究概要 |
これまで独自に開発した二次元有限要素解析法による二次元温度分布シミュレーションソフトウェアを用い、組織内加温の治療計画や二次元での温度分布把握を行いつつ、今回の研究では、三次元的な温度分布シミュレーシヨンに対して検討を重ねてきた。 すなわち、基礎研究としては、RF波による電磁界解析を行った。方法論は、今までの2次元有限要素解析を用い、マクスウェル方程式を解き、空間および時間領域で差分化し、そのアルゴリズムを3次元に適応するものである。今回は、ヒトの脳のモデルまでは解析し得なかったが、ファントムにおける3次元のシミュレーションは計算し、特にRF組織内加温と同様な遠心性化温法であるリエントラント加温における3次元シミュレーションを完成させた。 次に、頭部CTもしくはMRIにて撮像された脳腫瘍症例の二次元画像をコンピュータに取り込み、これらを再構築する事により三次元モデルを作成し、ワークステーション上で画像の三次元再構築を行う研究は、購入したVital Image社製のVitrea2にて三次元モデルを作成するところまで行ったものの、手術において有効な画像を得るところまでは応用し得たが、温度分布シミュレーション用のモデル作成までは達成し得なかった。 今回の研究に並行して進めた、臨床研究については、温熱治療時の温度分布に強い影響を与える局所脳血流をSPECTにて測定し、各組織の血流値を計算式に代入することにより予測温度の精度の向上をはかることを目指したが、1スライス上のSPECTとCT画像からの温度シミュレーションはまだ解像度の点で満足のいくものではなかった。しかし、レーザー血流計による組織内血流測定することが動物実験において確かめられ、それによる温度補正を用いた2次元シミュレーションの方が、今後の応用に使えるものと期待された。 温熱治療の効果は適切な加温にかかっており、温度分布予測に基づいた治療計画が必須である。今回の研究では、我々が独自に開発した二次元有限要素解析法による二次元温度分布シミュレーションソフトウェアを発展させ、三次元での温度分布シミュレーションを行なうシステムを導入する事が解決されたにとどまったが、今後さらに発展し、安全な治療計画による確実な加温による温熱治療が悪性脳腫瘍の治療効果向上に貢献するものと期待された。
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