研究概要 |
1)高周波磁場の照射治療条件に伴う抗腫瘍効果や免疫発現へ及ぼす影響の検討 マグネタイトの高周波磁場下での温熱最適条件としては、385Oe,120KHzにて30分以上の処理を行うとIn vitroにて抗腫瘍効果が顕著であることが確認されている。また、Ex vivoモデルにてマグネタイトを取り込ませたU-251-Sp human glioma cell lineを生体皮下に移植後、高周波磁場処理することで細胞の増殖がほぼ完全に抑制されることも昨年度までの研究実績で判明している。 今年度は、腫瘍細胞へバイオターゲッティングさせ、充分なMCLを集積させることでより強力な温熱拘束を発揮させる得るかを検討するとともに、その際の免疫獲得能力に及ぼす影響を観察した。まずIn vivo での最適温熱条件をファントムモデルを用いて詳細に検討した。即ち、MCLを寒天に包埋し、高周波滋場処理した際の昇温効果の結果から、Fisher344rat皮下に移植した後、in vivoでの血流による昇温効果への影響を考慮しながら高周波磁場処理による、腫瘍内の昇温効果及びその際の組織学的変化、腫瘍増殖抑制効果、脾臓細胞の特異的抗腫瘍効果の程度、腫瘍や周辺組織のHSP-70の発現やリンパ球・マクロファージの発現増幅等につき観察した。 2)HSP70発現に伴う免疫誘導の検討 Rat glioma T-9にHSP70遺伝子を導入したtransfectant株を作成。細胞内でのHSP70の発現量を増幅させ、それに伴うMHC class IやICAM-1の発現の経緯をFACSにて解析。温熱処理後の細胞が経時的にHSP70の発現やMHC class Iの発現を誘導する動態を観察した。さらにHSP70遺伝子導入細胞のMHC class Iの発現がHSP70の抗原輸送を傷害するポリアミンのDeoxyspergualin (DSG)を作用させることで、表面抗原への影響をFACS解析するとともに、抗原提示能や免疫獲得能力に影響するかを検討した。
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