研究課題/領域番号 |
14370434
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
二宮 善文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70126241)
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研究分担者 |
廣畑 聡 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90332791)
大橋 俊孝 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50194262)
米澤 朋子 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30304299)
大塚 愛二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50168986)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 血管基底膜 / 脳毛細血管 / 内皮細胞 / IV型コラーゲン / アストロサイト |
研究概要 |
この2年間で私どもは、血液脳関門に関係すると思われる新規遺伝子リミトリンを同定し、これが血液脳関門と関係することを支持する結果を得た。私どもは、脳毛細血管系より脳以外血管系を引き算するという方法でcDNAsを単離し、ノーザンブロット法、シーケンス検索、等により脳毛細血管系に特異的cDNAsを選出した。さらに、数種類のクローンにつきアミノ酸配列を基に抗ペプチド抗体を作成し、その分布を調べると、ある抗体はマウス脳においてグリア境界膜に特異的に染まった。マウス脳の血管周囲グリア境界膜と脳表面グリア境界膜の両方のグリア境界膜に特異的に染まったため、私どもはこのcDNAが由来するタンパク質を、リミトリンと名付けた。このリミトリンは、膜貫通ドメインを有し、更にインムノグロブリンドメインを二つ持つため、インムノグロブリンスーパーファミリーに属することがわかった。In vivoでアストロサイトが産生することが予想され、免疫電子顕微鏡的観察によって、そのことが確認された。さらに、培養アストロサイトが大量にリミトリンを産生することも確認できた。生体脳では、血液脳関門が機能するのは脳実質内の毛細血管であるが、総ての毛細血管周囲で機能している訳ではなく、脳実質内の、いくつかの場所においては血液脳関門が機能していない場所がある。私どもはこれらの正中隆起やsubfornical organ等の場所においてリミトリンが発現しているかどうかを調べると、陰性であった。さらに、マウス脳実質損傷を作成し、その治癒過程でのリミトリン遺伝子の発現を観察すると、まず脳実質の損傷とともにリミトリンは発現停止し、その治癒過程では、損傷部位周辺の毛細血管新生とともにリミトリンが発現してくることを検知した。この現象は、リミトリンは血液脳関門の生理機能と直接関わっている可能性があるということが推測された。
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