研究課題/領域番号 |
14370439
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
倉津 純一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20145296)
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研究分担者 |
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00264416)
竹島 秀雄 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70244134)
新納 正毅 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30172612)
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キーワード | グリオーマ / NF-1 / p53 / EGF-R / 胚細胞腫 / c-kit / NO |
研究概要 |
1.膠芽腫で高頻度に認められる癌遺伝子EGFR増幅、癌抑制遺伝子p53変異の予後的価値を検討した。p53遺伝子変異はyeast functional assay、EGFR遺伝子増幅はsouthern blotting、EGFR蛋白発現は免疫染色で評価した。p53変異は予後因子とならなかったが、EGFR増幅は生存期間の独立予後不良因子であった。また遺伝子増幅が確認された変異型EGFR過剰発現例は最も予後不良であった。 2.神経線維腫症I型(NF1)は高頻度にグリオーマを合併する。このNF1患者に見られる学習・記憶障害の発生はNF1遺伝子産物NeurofibrominによるRasの制御が破綻することで生じていることを細胞形態学的に証明し、その制御のメカニズムにNF1遺伝子のalternative splicing機構が関与していることと、さらにはそのalternative splicingにはRasの活性上昇が引き金となっているということを分子生物学的・生化学的に証明した。 3.一酸化酸化窒素(NO)が腫瘍の病態に関わっていることが知られているが、その産生機序は明らかでない。今回酸化産物を生体内マイクロダイアリシス法にて測定した。その結果、グリオーマで正常の2倍のNOが産生され、その産生に組織内に浸潤したカルシウム非依存性NO合成酵素を介したNO産生機構が関わっていることを明らかにした。 4.c-kit蛋白は脳や睾丸組織など正常組織に発現し、細胞の分化に重要な役割を果す膜蛋白であり、腫瘍細胞において発現が亢進している。今回、頭蓋内胚芽腫において睾丸胚芽腫と同様に腫瘍細胞の膜特異的に発現しており、また可溶性kit値が頭蓋内胚芽腫の髄液にて他の胚細胞腫に比較して特異的に上昇しており、診断や治療成績の判定に有用であることを明らかにした。
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