研究課題/領域番号 |
14370447
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松前 光紀 東海大学, 医学部, 助教授 (20209604)
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研究分担者 |
黒田 輝 東海大学, 電子情報学部, 助教授 (70205243)
継 淳 東海大学, 医学部, 講師 (30266415)
菊池 寛 第一製薬(株), 創薬代謝研究所, 主任研究員(研究職)
厚見 秀樹 東海大学, 医学部, 助手 (30307269)
石坂 秀夫 東海大学, 医学部, 助手 (00328113)
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キーワード | 温度感受性血中滞留型リポソーム / ドキソルビシン / 担癌マウス |
研究概要 |
【目的】我々は、Doxorubicin(DXR)を封入した温度感受性血中滞留型(ステルス化)リポソーム(DXR-TSL)を開発し、その血中滞留性と局所加温による腫瘍組織へのDXR集積効果(ターゲティング)を検討した。【方法】まずはDXR-TSLを数処方調整して、粒径、封入率、in vitroでの温度感受性について確認し、最適処方を決定した。次にヒト大腸癌ヌードマウス皮下移植株を対象として対象薬剤(DXR-TSL、DXR単独、非ステルス化リポソーム)を全身投与し、DXR-TSLが細網内皮系(RES)へ捕捉されにくく血中滞留性をもつことをin vivoの系として確かめた。さらにDXR-TSLの腫瘍組織への集積効果を検討した。【結果・結論】DXR-TSLは45℃生理食塩水や37℃血漿中ではほとんどDXRは放出されず、45℃血漿中でのみすみやかに放出された。DXR-TSLは非ステルス化リポソーム(CL)に比べ全身投与24時間後、肝臓には約50%、脾臓には約20%しか存在せずRESからの取り込みが回避されることを確認した。逆に血漿中では、DXR-TSLはCLの約120倍のDXR量を認め、その血中滞留性をも証明された。DXR単独を全身投与するとすみやかに血中DXR濃度は低下し投与後6時間でほぼ血中から消失してしまったが、DXR-TSLでは投与してから24時間経過してもなお血中に滞留した。DXR-TSLを全身投与して6時間後、腫瘍局所を45℃に温熱処置すると、腫瘍組織内DXR量は非温熱群より約7倍量集積した。おもしろいことにDXR-TSLを全身投与して10分後に温熱処置すると、6時間後に処置するよりさらに約5倍量の腫瘍組織内DXR集積効果を認めた。よって我々の開発したDXR-TSLは十分な血中滞留性をもち、さらに局所加温による腫瘍組織へのDXR集積効果を示すことが確認された。
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