研究課題/領域番号 |
14370459
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齋藤 直人 信州大学, 医学部, 教授 (80283258)
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研究分担者 |
小林 千益 信州大学, 医学部, 助教授 (40205464)
清水 富永 信州大学, 医学部, 講師 (40283270)
村上 成道 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (50334892)
高橋 淳 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (60345741)
高岡 邦夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30112048)
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キーワード | 骨形成タンパク / サイトカイン / 骨髄単核球細胞 / 骨欠損 / ドラッグデリバリーシステム / 骨組織再生 / 人工関節 / 生体材料 |
研究概要 |
人工関節置換術において、人工関節を骨と強固に結合させ、周囲の骨欠損を修復して人工関節を固定する目的で、骨形成タンパク(BMP)を人工関節に付加させた新しい人工関節の開発を行なってきた。この開発過程において、人工関節周囲組織の状態が悪い場合には、BMPを付加しても十分な骨形成を得ることができないことが明らかになり、本年度はBMPの骨修復能力を向上させる手技や周囲軟部組織の状態を改善して骨形成能を高める技術を研究した。一方、骨組織修復を促進することが期待できる新規生体材料である炭素系素材を用いることにより、人工関節に新たに骨組織修復能を付加させる研究開発を行った。 BMPの骨修復能力を向上させるための手技の開発として、骨髄単核球細胞移植を用いてBMPの骨形成能力を向上させる試みを行った。すなわち、BMPによる異所性骨形成実験において周囲筋に骨髄単核球細胞を移植することにより骨形成能が増強するかを検討した。また、BMPによる骨欠損の修復実験に骨髄単核球細胞移植を併用することで骨修復が促進されるかを検討した。この骨髄単核球細胞移植により、周囲の血流を増加させ、骨形成・骨修復を増強させる新しい発想の技術は、BMPを付加した人工関節に有効なだけではなく、骨癒合不全をきたした骨折や自己修復されない骨欠損などを修復する場合にも用いることができる発展的な技術である。 骨組織修復を促進するための人工関節用の新規生体材料である炭素系素材は、生体内で異物反応が少なく、骨組織と親和性が良好であることが判明した。また、骨組織の修復において炭素系素材は骨内に取り込まれることにより、骨組織修復を促進する可能性が認められた。さらに、この炭素系素材はBMPの担体として機能する可能性がある。人工関節にこの新規生体材料を複合させることにより、本研究で開発してきた人工関節の骨修復能をさらに増強させることが期待できる。
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