研究概要 |
関節軟骨破壊に関与するmatrix metaroproteinases (MMPs)やaggrecanase(ADAMTS-4,5)などのマトリックス分解酵素では、基質の切断部位のアミノ酸配列を認識する特異抗体によって軟骨破壊の分解産物が定量できる。マトリックス分解酵素としての研究が始まったばかりのカルパインでは、このような特異抗体がこれまで作成されていなかった。しかし我々は予備実験で、カルパインはコア蛋白の特異的な部分を切断することを同定し,一方monoclonal antibodyを作成する技術を獲得した。それにより人土的に合成したアミノ酸配列を抗原として用いて新しいsite specific anti peptide monoclonal antibodyを完成させた。この抗体を用いてウシ軟骨アグリカンをカルパインで分解した分解した後のfragmentが同定され酵素基質比の変化によってアグリカンコア蛋白の分解されるsiteが変化することや、アミノ酸配列によって切断されやすいsiteの特徴があり、この特徴は種によってよく保存されていること等を確認した。またウシ関節軟骨組織より抽出したアグリカンfragment内にこの抗体で同定されるfragmentの存在も確認した。ことから,in vivoにおいてもカルパインは作用しており、それによって分解されたfragmentが存在することを証明した。これらの結果より変形性関節症や関節リウマチのような疾患において軟骨組織が崩壊してゆく過程でカルパインが作用している可能性が示唆された。
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