Ewing腫瘍(ET)18例を用いて、CGH法によりDNAコピー数の変化を検討した。それらの結果をヨーロッパ症例での結果と比較検討した。まず、13例中12例のEwing肉腫でEWSexon7とFLIlexon6の融合遺伝子が検出されたが、ヨーロッパ症例では62例中31例が同タイプの融合遺伝子を有していた(p=0.005)。CGHで検出できた変異数の中央値は日欧の症例間で差は無かった。日本症例でgainは8q、8p、12qに多く、ヨーロッパ症例でも同じ傾向が認められた。日本症例でlossは19q、19p、17pに多く、ヨーロッパ症例でも16q、19q、17qに多かった。日本症例のatypical ET1例にのみ、1p33-34(L-MYC)に著明な遺伝子増幅が認められた。滑膜肉腫14症例に対しCGH法を行い、その染色体不安定性を解析した。14例中10例(71%)に遺伝子変異が認められ、更にgain(平均4.4個)はloss(平均0.9個)よりも頻繁に認められた。高頻度に認められたgainは12q15(5例)、12q22(5例)、12q24.3(5例)に存在し、lossは3p14(2例)、6q(2例)にあった。High-level gainは12q15、12q22、12q24.3に認められた。12q15(p=0.021)、12q22(p=0.021)gainは、二相型よりも単相型に有意に多く認められた。単相型は二相型と比較して、平均変異数とhigh-level gain数ともに多く、予後も不良であった。3q32、4q26-qter、5p、5q14-q23、11pのgainと1p33-pter、3p21、11q12、16p、17p、22qのlossがヨーロッパ症例群に多く、12q15と12q22のgainが日本症例群に多く認められた。
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