研究課題/領域番号 |
14370466
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松田 正司 愛媛大学, 医学部, 教授 (40173843)
|
研究分担者 |
樅木 勝巳 愛媛大学, 医学部, 助手 (70304615)
佐野 輝 熊本大学, 医学部, 教授 (30178800)
小林 直人 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50234836)
斉藤 正一郎 愛媛大学, 医学部, 助手 (60325371)
|
キーワード | ヒヨコ / 二分脊椎 / 運動神経細胞 / 歩行異常 / 下肢変形 / 運動麻痺 / アセチルコリン |
研究概要 |
我々はこれまでに二分脊椎症で見られる神経損傷の病態を詳細に解析するためにヒト二分脊椎症患者に似た後肢の運動障害や骨変形を示す二分脊椎ヒヨコを開発した。正常では脊髄内部の構造は外側に白質、内側に灰白質が有り最内側に中心管を取り巻く胚芽層が有り各層の境界が比較的明瞭であるが、7体節再開裂二分脊髄例では腹側に白質、背側に灰白質、さらに背側に幼若な胚芽層が有り各層、特に灰白質と胚芽層の境界は不明瞭であった。前角の運動神経細胞は7日胚では形態に大きな違いは認められなかったが、14日胚のもので比較すると正常では円形で細胞質には多くのニッスル小体が認められるが、7体節再開裂二分脊椎例では楕円形であり細胞質のニッスル小体は正常に比較しかなり少なかった。運動神経細胞の量的変化よりも質的変化が重要と思われた。そこで、平成15年度では、このモデルの脊髄奇形領域における脊髄神経、特に運動神経に変化について焦点を合わせ、コリン作動性神経細胞のマーカーであるアセチルコリントランスフェラーゼの特異抗体を用い、二分脊椎ヒヨコの奇形脊髄の免疫染色を行った。すなわち、二分脊椎例及び正常発生例、それぞれ5例の第3腰髄の15μm厚の連続切片を作製し、各個体につき3切片毎(30μm毎)・25切片上の抗体陽性細胞数を数えた。二分脊椎例では872.5±48.2個、正常発生例では752.0±37.0個であった。この結果から二分脊椎ヒヨコの奇形脊髄領域には正常発生例以上に多くの機能的な運動神経細胞が存在していることが示唆された。本モデルで見られる後肢の運動機能障害が運動神経細胞の機能異常によるものでなく、脊髄介在神経細胞などの運動神経の上位にある機能調整系の機能不全によって引き起こされたものであると推論した。
|