研究概要 |
ATDC5細胞を用いてメカニカルストレスの効果について研究した。ATDC5細胞はインシュリン添加によりプロテオグリカンの産生を増加させるなど、インシュリン依存性に分化する。インシュリン添加開始日をdayOとし、day4,7,14,21,28にメカニカルストレスの負荷を行った。 Histone H4は、培養期間を通じて一定の発現が認められたが、メカニカルストレスに対する反応はday 4でのみ認められた。Type IIコラーゲンは、インシュリン無添加群ではday 7で軽度の上昇が認められたが、それ以降は変化なく、メカニカルストレスに対する反応性は認められなかった。一方、インシュリン添加群では培養日数とともに発現量は増加し、day 21,28でメカニカルストレスに対する反応性も有意に増大した。Type Xコラーゲンの発現量は、両方の群で培養日数とともに徐々に増加した。メカニカルストレスに対する反応性は、インシュリン無添加群ではday 28にわずかに認められたのみであった。一方、添加群ではday 7より認められ培養日数とともに反応性は増大した。アグリカンの発現量は、無添加群ではday 7に増加し、それ以降ほとんど変化なかった。メカニカルストレスに対する反応性は培養後期でのみ認められた。添加群ではday 7以降も著明な増加が認められたが、メカニカルストレスに対する反応性が確認できたのはday 7のみであった。 Histone H4は未分化な時期にメカニカルストレスに反応した。Type IIコラーゲン、Type Xコラーゲン、アグリカンの3種ともメカニカルストレスに反応するが、その反応性の獲得にインシュリン添加が必須(高度な分化)なのはType IIコラーゲンのみで、Type Xコラーゲンはインシュリン無添加でも長期培養による中等度の分化で反応し、アグリカンは初期分化のみで反応性が認められた。 以上より、メカニカルストレスに対する反応性は、ATDC5細胞の分化度の違いによって変化することが明かとなった。
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