研究概要 |
PKCの脳血管平滑筋収縮機構への関与を明らかにするために、ヒトの脳血管に反応性が極めて類似しているとされるブタ脳血管を用い、 1)PKCアイソフォーム、11種類に対し、SDS-PAGE、Western Blotting法により検索した。 2)平滑筋のカルシウム感受性亢進において重要な働きをしていると考えられている低分子量GTP結合タンパクの1つであるRhoA、およびその下流に位置するリン酸化酵素Rho-Kinaseについてウエスタンブロット法により細胞内でのRhoA、Rho-kinaseの動態を検討した。細胞膜無傷標本および膜可透過標本について検索した。細胞分画操作が適正であることを確認するために、Rho-GDIについてもウエスタンブロット法で検出した。 3)MLC(ミオシン軽鎖)および、p-MLC(リン酸化ミオシン軽鎖)の存在について、静止時、および刺激時(PGF2α、10-5M、GTPγS投与)の割合の検索を試みた。 4)2次元電気泳動法によるミオシン軽鎖のリン酸化レベルの定量化を目的として、1次元目の等電点電気泳動をpH3-10で行い、引き続き、2次元目を12%SDSポリアクリルアミド電気泳動により行い、ゲルの銀染色により、出現する蛋白質のスポットの再現性を検討した。 以上より、ブタ脳血管収縮において 1)収縮のカルシウム感受性の亢進の機序として、低分子量GTP結合タンパクRhoAおよびその効果器の一つであるRho-kinaseを介する機序が存在していること 2)もう一つの血管収縮の情報伝達経路の1つである、PKCについて、特にα,βI,βIIが顕著に存在していることから、これらも実験的脳血管収縮に関わっている可能性があることが解った。
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