研究課題/領域番号 |
14370483
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岡本 学 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70303146)
|
研究分担者 |
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 教授 (70181419)
馬場 洋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00262436)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
キーワード | 脳虚血耐性モデル / 脳虚血負荷 / 近赤外線微分干渉観察 / 膜電流観察 / 細胞膨化 / 経時的同時記録 |
研究概要 |
脳虚血耐性獲得確認のため、砂ネズミの両側総頚動脈2分間閉塞による虚血前処置を行った群(前処置群)と虚血前処置を行わなかった群(前処置無群)を準備した。虚血群と前処置各群に総頚動脈5分間閉塞の虚血負荷を行い、対照として虚血Sham群を作製した。その1日後と6ヵ月後にその3群から脳海馬スライス標本を作り、神経興奮伝播画像解析装置を用い、電気刺激誘起の興奮伝播を観察した。その結果、前処置無群と前処置群の両群で興奮伝播範囲の減少が認められた。その程度は前処置無群において顕著で虚血Sham群に対し統計的有意であった。さらに、前処置無群で前処置群に対し有意に興奮伝播範囲の減少が観察された。以上から神経興奮という機能面でも、2分間虚血によりその後の虚血負荷に対する耐性獲得が確認された。前述の前処置群と虚血群の両者より脳海馬スライス標本を作製し近赤外線光画像化システムで経時的観察を行った。その結果、虚血群では虚血負荷開始から、約6分後に細胞辺縁が不鮮明になり細胞体に小胞状突起が観察され、その後小胞は融合し細胞体全体が膨化した。変化の直後から再酸素化してもほとんどの細胞は回復しなかった。次に前処置群では、やや遅く約7分後に細胞形態の変化が発生した。膨化の進展速度は緩徐で、変化発生直後から再酸素化をすると、約半数の細胞で形態がほぼ虚血負荷前までに回復した。形態変化と電気生理学的変化の同時記録を行うため、細胞膜の電気的応答を観察した。虚血群では虚血開始後約2分から緩徐な外向き電流が観察され、約6分後には急激な内向き電流が観察され、その後は正常な神経活動はなくなった。急激な内向き電流の直後に再酸素化しても細胞応答は回復しなかった。前処置群では、虚血負荷開始約2分後から緩徐な外向き電流が観察され、約7分後に急激な内向き電流が発生し、その後、正常な神経細胞活動は観察されなくなった。急激な内向き電流の直後に酸素化を再開すると記録した約半数の細胞で虚血前状態に回復したが、細胞からのリーク電流が虚血前より増加していた。
|