研究概要 |
全身麻酔の作用機序は未だ確定していないが、シナプス伝達、特にGABA系抑制性シナプス達に及ぼす作用が注目されている。静脈麻酔薬、ガス麻酔薬、揮発性麻酔約にわたる広範な麻酔薬によりIPSP/IPSC振幅の変化や持続・減衰(decay)の延長が報告されている。 近年、30-100Hzの視床-大脳皮質間や海馬-大脳皮質間にGABA作動性の相互抑制性共鳴振動(thalamo-cortical oscillation、別名40Hzリズム)が発見され、認知や意識との関連が示唆されている(Linas 1993)。このthalamo-cortical oscillationが発見され、)認知や意識との関連が示唆されている(Linas 1993)。このthalamo-cortical oscillationは覚醒時やREM睡眠時に自発的に発生し、また麻酔によりその共鳴振動周波数が減少する(Munglani 1993)。イソフルレンによるIPSC減衰(dccay)の延長とthalamo-cortical oscillation周波数のの減少が報告されている。すなわち、麻酔薬によるIPSP/IPSCの持続(duration)・減衰(decay)延長がthalamo-cortical oscillation周波数の減少を介して意識消失を来す可能性がある。 本年度の成果としてはラット視床スライスを用い、自発性IPS/IPSCを記録した。 ハロセン麻酔下にラットを断頭し、リンゲル液中に固定し、肉眼的に視床周辺部のブロックを切り出した。スライサーに固定し、200-300μのスライス標本を作成した後、35℃で1時間インキュベートした。 2mM Ca,1mM Mgを含む酸素化したリンゲル液で潅流し、whole cell patch clampを行った。リンゲル液に20μM AP-V,10μM CNQX,0.5μM strychinineを添加し、GABA性spotaneous IPSCを記録した。
|