研究課題/領域番号 |
14370488
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
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研究分担者 |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50196474)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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キーワード | NF-κB / ステロイドレセプター / ストレス応答 / 白血球機能 / 重症感染症 / Insulin-like growth factor / DNAチップ |
研究概要 |
重症感染症の新たなる治療戦略を確立するために、本研究の焦点を以下の3点に絞り実施している。1)重症感染症時の白血球核内NF-κBとステロイドレセプター(GR)の定量法の確立。2)NF-κBとGRバランスに基づいた治療戦略の確立。3)重症感染症時の応答遺伝子の発現に関する研究。 感染症時のストレス応答にはサイトカインをはじめ、多くのメジエーターが関与する。最近これらの発現を遺伝子レベルで調節している転写因子が注目されている。なかでもNF-κBは、各種サイトカインや接着分子などの炎症や免疫応答にかかわる遺伝子の発現に関与し、炎症局所で活性化されていることが報告されている。一方、グルココルチコイドはIκBを誘導しNF-κBの核移行を阻害する。またNF-κBのDNAへの結合を抑制することが知られており、グルココルチコイドの抗炎症作用の一部はNF-κBの抑制によるものと考えられる。従って、ストレス応答に関与するメジエーターを転写因子レベルで調整することは、重症感染症に対する新たな治療戦略と考えられる。本年度はまず白血球核内NF-κBならびにGRの定量法をフローサイトメトリを用いて確立した。31例の外傷や敗血症の患者と24例の健常人でNF-κBを測定した結果、患者群ではNF-kB値が有意に上昇していた。同時に白血球の活性化の指標である活性酸素産生能も上昇しており、NF-κB値とは有意な正の相関を認めた。以上より侵襲に伴い生じる炎症反応に白血球核内NF-κBが関与することが示唆された。現在NF-κBの発現とGR値の関係(バランス)について解析中である。動物実験では、腹腔内zymosan投与多臓器障害モデルを作成し、各臓器における遺伝子発現についてDNAチップを用いて解析した。その結果、多臓器不全の病態にInsulin-like growth factorやC-kitなどの遺伝子が関与することが明らかとなった。現在引き続きこれらの遺伝子の機能解析を行っている。
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