研究概要 |
これまでの研究で1)高気圧酸素負荷による虚血耐性誘導の可能性(平成14年度)2)虚血耐性誘導に関与する遺伝子プロファイリング(平成15年度)の検討を行ってきた.本年度は中枢神経系(脳および脊髄)での虚血耐性誘導の応答についての検討と,遺伝子プロファイリングで得られた個々の遺伝子情報を詳細に検討した. 高気圧酸素負荷(3.5ATA,1時間/日を5日間)から6,12,24,72時間経過時に両側内頸動脈閉塞+脱血性低血圧の虚血(8分)を加えた.再潅流7日後,神経傷害を評価した.海馬CA1神経細胞の生存率は6h,12h,24h,72h群でそれぞれ約50%,80%,50%,10%で,12h群で最も虚血耐性効果が著明であった.マイクロアレイで得られたglobal genomic responseの中から12h群で変化の強い遺伝子をクラスター解析で抽出した(8カテゴリー).NCBIのデータベースを参考に神経細胞関連のannotated geneに注日し,現在その遺伝子が作り出す蛋白の定量(Westen-Blotting法)とオルガネラの同定(免疫組織化学染色法)を行っている. 高気圧酸素負荷による脊髄におけるglobal genomic responseの解析では,up/down regulated geneの数はそれぞれ6時間群で286/96,12時間群で823/158,24時間群で1320/58,72時間群で198/428であった.6,12,24時間群に共通に発現したup-regulated annotated geneは25であった. これらの遺伝子のカテゴリー分類と,これらの結果から虚血耐性を誘導できる可能性をもったtarget遺伝子が判明する予定である.
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