研究概要 |
クーロアレイ3次元電気化学(ECD)検出システム(4チャネル)を購入し、局所麻酔薬ropivacaine、bupivacaine、lidocaine、mepivacaineの微量定量法の確立に従事した。従来、これらの薬剤はHPLCの検出器としてUVを使用しておりECDによる検出の報告はなかった。検出条件の設定に1時間を費やしたがようやく0.2ml試料での検出が可能となった。この測定法については、現在、論文作成中である。 pH変化に伴うタンパク結合率の変化についての基礎データでは、局所麻酔薬はそのpKaと溶液pHにより荷電型と非荷電型の比率が決定されるが、血漿タンパクに結合するのは非荷電型のみで、タンパクへの結合はそのブンゼン係数に従うと仮定してよいのか、また、タンパクヘの結合飽和が臨床濃度の薬剤で生じうるのかを探索した結果、4.4%人アルブミン液では、idocaine(pKa7.8)、mepivacaine(pKa7.6)、ropivacaine(pKa8.07)、bupivacaine(pKa8.2)のpH10,8,6,4での結合率は、各々、96、11、3、0%、86、6、0、0%、99、24、17、,0%、95、56、56、56%であった。なお、局所麻酔薬は血漿中のアルブミンよりはα1-acid glycoprotein(AAG)に結合するとされているので、ヒト凍結血漿でのデータを採取中である。 次年度には、ヒト胎盤潅流モデルを用いた胎盤移行のデータについての研究に着手できる予定である。この場合、実施する条件は、(1)母体側潅流液のタンパク濃度変化・pH変化・潅流液流速の変化、(2)胎児側潅流液のタンパク濃度変化・pH変化・潅流液流速の変化であり、拡散移行の標準物質としてはアンチピリン、タンパク結合物質としてはインドシアニングリーンを用いる。
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