研究課題/領域番号 |
14370502
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
深堀 能立 群馬大学, 医学部, 講師 (90199167)
|
研究分担者 |
小山 徹也 群馬大学, 医学部, 助教授 (50233622)
門傳 剛 群馬大学, 医学部, 助手 (20323363)
|
キーワード | アンドロゲン / 受容体 / 共役因子 / 核内受容体 / 前立腺 / ホルモン抵抗性 / 再燃 / 予測 |
研究概要 |
昨年度は、前立腺針生検で採取した組織から、RNAを抽出後cDNAを合成して、p120αとp120βの発現をリアルタイム定量的PCR法で測定する方法を確立し、p120β発現の低下が、アンドロゲン非依存性やホルモン抵抗性を示す新たな分子マーカーとなる可能性を示唆した。今年度は、p120αとp120βの発現量(カットオフ値:p120α/GAPDH=20X10^<-3>およびp120β/GAPDH=0.2X10^<-3>に設定)を指標として、ホルモン療法を受けた前立腺癌患者のPSA再燃や予後について、前向きのコホート研究をKaplan-Meier法によりおこなった。 (1)PSA再燃:ホルモン療法が適応された前立腺癌新鮮例24例について、PSAをマーカーとする生化学的再燃をエンドポイント(3点以上連続上昇を再燃と判定)に採用して検討した。p120β≧0.2X10^<-3>群は15例、p120β<0.2X10^<-3>群は9例であり、1年非再燃率はそれぞれ86%と44%、2年非再燃率は72%および44%であった。3年非再燃率はそれぞれ、72%と33%であった。p120β≧0.2X10^<-3>群、p120β<0.2X10^<-3>群との間には、有意な差が認められた(Logrank-test:P<0.02)。p120αについてはp120α≧20X10^<-3>群は19例、p120α<20X10^<-3>群は5例であり、1年非再燃率はそれぞれ80%と30%、2年非再燃率は63%および30%であった。3年非再燃率はそれぞれ、63%と30%であった。p120α≧20X10^<-3>群、p120α<20X10^<-3>群との間には、有意な差が認められた(Logrank test:P<0.01)。 (2)予後:ホルモン療法が適応された前立腺癌症例37例について、前立腺癌死をエンドポイントに採用して検討した。p120β≧0.2X10^<-3>群は18例、p120β<0.2X10^<-3>群は19例であり、3年生存率はそれぞれ、67%と57%であった。p120β≧0.2X10^<-3>群、p120β<0.2X10^<-3>群との間には、有意な差は認められなかった。p120αについては、p120α≧20X10^<-3>群が26例、p120α<20X10^<-3>群が11例であり、3年生存率は、それぞれ81%と27%であった。意外にもp120α≧20X10^<-3>群、p120α<20X10^<-3>群との間には、著明な有意差が認められた(Logrank-test:P<0.001)。 p120αの低下は再燃予測因子と予後予測因子に、p120βの低下は再燃予測因子になる可能性が示唆された。
|