研究課題/領域番号 |
14370507
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 福井大学(医学部) |
研究代表者 |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
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研究分担者 |
石田 泰一 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (00293431)
大山 伸幸 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (20223977)
秋野 裕信 福井大学, 医学部, 助教授 (90159335)
守山 典宏 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (70313773)
棚瀬 和弥 福井大学, 医学部, 助手 (00359720)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 脳血管障害 / 排尿障害 / 神経因性膀胱 / 尿失禁 / 神経可塑性 / プロスタグランジン / COX-2 / EP-1 |
研究概要 |
頻尿・尿失禁の動物モデル(脳梗塞ラット)を用い、その脳内メカニズムを生理学的遺伝子学的に検討してきた。脳梗塞後橋背外側被蓋におけるCOX-2,PGES, PGDSのmRNAを定量的RT-PCR法を用いて測定し、脳梗塞作成後のPG量をEIA法によって検討した。またCOX-2 inhibitorであるNS-398、PGE2の受容体EP1の遮断剤を単回投与し排尿反射亢進に対する影響について検討した。 1、梗塞作成直後よりCOX-2 mRNAの発現が増加し、これがglutamateのNMDA受容体の制御をうけている。 2、PGESの発現は脳梗塞作成5時間後にピークに達していた。 3、PGE_2量は左側大脳皮質虚血部位では1時間後、12時間後に有意に増加しており、右側大脳皮質部位では5時間後に有意な増加を認めた。橋背外側被蓋では3時間後と5時間後に有意な増加が認められた。 4、脳梗塞作成30分後、NS-398(10nmol,100nmol)を覚醒下で右側脳室に単回投与したとき、10nmolでは投与後8時間以降有意な差をもって膀胱容量の増大がみられた。また、100nmolの投与では7時間以降著明な膀胱容量の増大がみられた。またその効果は投与後、12時間以降も持続していた。 5、脳梗塞作成前にEP1受容体遮断剤ONO-8711を経静脈的に投与しておくと、中大脳動脈を塞栓しても膀胱容量の減少は認められなかった。また、脳梗塞発生後12時間までの投与であっても排尿反射の亢進は抑制された。 6、脳梗塞ペヌンブラにおけるnNOSの発現の亢進がみられたが、nNOSの発現は橋排尿中枢においても亢進していた。またNOS inhibitorを投与すると排尿反射はその発生の時点より抑制された。 以上より、脳硬塞後に生じる排尿反射亢進の発生にCOX-2/PGESが重要な働きをしていることを示唆している。すなわち脳梗塞後排尿反射が亢進するにはCOX-2/PGES遺伝子の転写とともにその酵素活性が必須であり、またCOX-2の酵素活性は梗塞後1時間以内に発現し、1時間以降は直接的には排尿反射亢進に関与せず、排尿反射亢進の維持には関与しないという結果であった。脳幹部の橋においてPGが排尿反射の発生に関与し、トリガーになり得る可能性は十分にあると思われる。
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