研究課題/領域番号 |
14370518
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40238134)
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研究分担者 |
村上 浩士 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80262020)
中西 真 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
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キーワード | 分裂酵母 / 減数分裂 / DNA傷害チェックポイント |
研究概要 |
ヒト減数分裂の分子機構については、現在も十分に解明されていない。ヒトにおける減数分裂を研究する上で、効率的な実験系は確立されておらず、分裂酵母をモデル生物として用い、分子機構の解明を行った。 分裂酵母におけるDNA傷害チェックポイントは、体細胞分裂においては、チェックポイントrad(rad1、rad3など)と呼ばれる遺伝子群に依存して、Chk1が活性化され、細胞周期をG2期で停止させることがわかっている。そこで、rad1、chk1遺伝子が欠損した減数分裂期細胞に、アルキル化剤のメタンスルホン酸メチル(0.01%)を減数分裂前DNA合成が開始する前(1時間目)に加え、DAPI染色、FACScan、cdc2-Tyr15のリン酸化状態、chk1タンパク質のウェスタンブロッティングを観察した。 その結果、野生型株と比較して、以下の知見が得られた。(1)10時間後の細胞形態は、わずかに異常な細胞がみられた。(2)減数分裂前DNA合成の遅延が見られたが、減数分裂の停止は観察されなかった。(3)cdc2の脱リン酸化も野生型とやや遅延は見られる形で進行する。(4)Chk1のタンパク質量は変わらないが、弱いリン酸化が観察された。チェックポイントradの一つであるrad3、複製チェックポイントに関与するcds1の各遺伝子欠損株においても、顕著な変化は認められなかった。 これらのことは、分裂酵母における減数分裂期DNA傷害チェックポイントは、体細胞分裂におけるチェックポイントとは異なり、比較的弱いものである可能性を示唆している。従って、DNA傷害チェックポイントが減弱されており、DNA修復がどのように行われているかはDNA組み換えチェックポイントの関与が考えられた。
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