研究分担者 |
平山 恵美 北海道大学, 医学部附属病院, 医員
古田 伊都子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70238682)
水上 尚典 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40102256)
森川 守 北海道大学, 医学部附属病院, 医員
片岡 宙門 北海道大学, 医学部附属病院, 医員
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研究概要 |
本研究の目的は,正常の生殖機構および免疫学的生殖不全,特に習慣流産における,NK細胞,NKT細胞,Th1/Th2サイトカインバランスの役割を解明することを目的とした. 1.習慣流産15人と正常女性15人における末梢血CD3+CD4-CD8-TCRVα24+Vβ11+NKT細胞数,CD4+(CD8+)細胞におけるIFN-γ,IL-4,TNF-α発現をフローサイトメーターで調べ比較した.結果,NKT細胞比率には差異を認めなかったが,習慣流産女性では,Th2/Tc2リンパ球優位であることが初めて明らかとなった(Shimada et al.,Am J Reprod Immunol,2003). 2.難治性習慣流産に有効であるγグロブリン大量療法(MIVIg)の薬理効果作用を調べるために,9人のMIVIg前後の末梢血Th1/Th2サイトカイン,Th1/Th2リンパ球比の変化を調べた.結果,MIVIgによって,有意にIFN-γ,TNF-α,IL-4,IL-10濃度は上昇し,Th1/Th2リンパ球比が低下することが判明した(Yamada et al.,AmJ Reprod Immunol,2003). 3.習慣流産78人の妊娠初期に,炎症性サイトカインであり細胞増殖分化に関与するmacrophage migration inhibition factor (MIF)末梢血濃度を調べた.結果,染色体正常流産に至った群では正常分娩群や染色体異常流産群に比してMIF濃度が有意に低値を示した(Yamada et al.,Hum Reprod,2003). 4.GSTM1.T1遺伝子多型と習慣流産との関係を調べた結果,GSTM1 nullのタイプでは習慣流産発症リスクが高い(OR:2.23)ことが判明した(Sata et al.,Mol Hum Reprod,2003) 以上のように習慣流産発症機構に,多くの免疫学的異常や遺伝子多型が関与していることが本研究によって明らかにされた.
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