研究課題/領域番号 |
14370542
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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研究分担者 |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 助手 (50335270)
辻 純 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252448)
伊藤 壽一 京都大学, 医学研究科, 教授 (90176339)
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キーワード | 聴皮質 / 難聴 / 聴神経 / SPM / 脳機能画像 / PET / 細胞移植 / 再生 |
研究概要 |
本年度はまず種々の実験動物においてアミノグリコシド製剤、シスプラチンなどの耳毒性薬物を用いた内耳傷害モデルを作成した。その結果、全身投与、迷路のうち後半規管からの投与により再現性が高く、確実な内耳傷害の作製が可能であることが確認された。これらのモデルでは、内耳有毛細胞だけでなく聴神経細胞の高率な変性脱落も確認された。また、このようなモデルにおいて神経幹細胞、胚性幹細胞、間葉系幹細胞など種々の幹細胞を注入し、難聴動物への細胞移植の生着効率を検討した。神経幹細胞を移植すると、多くが生着しグリアおよび神経への分化が高率にみられた。胚性幹細胞移植では、あらかじめ培養条件を制御して神経系への誘導をおこなうと神経細胞へ高率に分化し、生着することがわかった。一方、間葉系幹細胞でも神経細胞への分化が見られたが、その頻度は低率であった。本年度の研究により、内耳傷害モデルを確立し、かつ幹細胞移植に関する基礎的資料を得ることができた。一方、脳機能画像では第8脳神経の皮質への投射につきPETと脳磁図を用いた実験を行った。内耳性難聴によって語音弁別が低下すると聴皮質の賦活が、刺激耳と反対側の側頭葉にとどまり、正確な語音認知に両側の聴皮質の協同が重要であることが判明した。内耳性難聴があると刺激語音の音圧上昇にともなって聴皮質賦活が正常に比して急速に上昇することも、脳磁図を用いた実験で明らかになった。また、先天性高度難聴児に人工内耳手術を行った場合、全般的な発達遅滞があっても語音弁別の改善が得られることがわかり、聴皮質の発達は、発達遅滞によって必ずしも阻害されないことがわかった。次年度も難聴の影響について聴皮質の基礎的、臨床的研究を継続する。
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