研究課題
基盤研究(B)
基礎的研究としては、聴皮質の臨界期を操作する可能性を探求するために、幹細胞の聴覚路への移植について検討した。チンチラ自己骨髄由来の間質細胞を蝸牛軸の聴神経に注入すると、多くの移植細胞が生着し、その一部は神経細胞に分化することが観察された。マウスの胚性幹細胞(ES細胞)を頭蓋骨髄細胞層上で培養し、さらに蝸牛感覚上皮と共培養すると、多数のES細胞から神経線維が伸びて毛細胞に接する像が確認され、毛細胞との接点でsynaptophysinの発現が認められた。この結果は移植ES細胞の聴覚路神経細胞への高い分化能を示唆する。さらに、SDIA処理をしたマウスES細胞を、傷害したモルモット蝸牛軸に注入し、電気刺激聴性脳幹反応を計測すると、ES細胞を注入しない対照群に比して低いeABR閾値が確認された。この結果は、SDIA処理ES細胞移植が聴覚機能の回復に寄与することを示唆する。これらの結果は細胞移植による聴覚神経系の臨界期の克服への一つの可能性を示すものと考える。一方、人の脳機能画像を用いた研究では、聴覚正常者において18F-FDGを静脈注射し、物語を話している話者の顔の画像を見て読話によって内容を把握するように努めてもらい、その後に脳のPETスキャンを行った。その結果、読話により視覚野、頭頂葉に加えて左側頭葉の上側頭回後部も有意に賦活されることが分かった。先天性難聴者において、この上側頭回の賦活が高度になると、側頭葉における視覚言語処理の優位性が推測され、音声言語習得の臨界期が過ぎたことを示す一つの他覚的指標となるものと期待される。
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