頭頸部癌において高頻度に発現しているCOX-2をプロモーターとして組み込んだ増殖型アデノウイルスベクターAd-COX2-Elaによる遺伝子治療の有効性をin vitroレベルで検討した。その結果、COX-2を高度に発現している頭頸部癌培養株において、増殖型アデノウイルスによる殺細胞効果が有意に高いことが確認された。 この結果を基に、頭頸部癌に対する遺伝子治療法の臨床開発に向けて、頭頸部扁平上皮癌培養細胞株をヌードマウスに移植し頭頸部癌in vivoモデルの作成し、このモデルを用いてCOX-2プロモーターを組み込んだ増殖型アデノウイルスによる抗腫瘍効果を、in vivoで検討した。 その結果、コントロール群に比べてAd-COX2-Ela投与群において有意に腫瘍の増殖抑制効果がみられた。更に、下咽頭癌93例の摘出標本を用いてCOX-2の発現を検討したところ、70例(75%)においてCOX-2の発現がみられた。以上より、本治療法がCOX-2強発現する頭頸部扁平上皮癌に対して抗腫瘍効果を持つこと、ならびに頭頸部扁平上皮癌の多くが、本治療法の対象となることが明らかとなり、本治療法が頭頸部扁平上皮癌に対する新たな治療戦略となる可能性が示された。
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