研究課題/領域番号 |
14370547
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
湯本 英二 熊本大学, 医学部, 教授 (40116992)
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研究分担者 |
増田 聖子 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70346998)
鮫島 靖浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50206009)
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キーワード | 反回神経麻痺 / 神経成長因子 / 毛様体神経栄養因子 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 神経再生 |
研究概要 |
本研究では、神経成長因子(Nerve growth factor、NGFと略)、毛様体神経栄養因子(Ciliary neurotrophic factor、CNTFと略)、塩基性線維芽細胞増殖因子(Basic fibroblast growth factor、bFGFと略)が一側脱神経モデル動物(ラット)における反回神経再生に及ぼす効果を電気生理学的および組織学的に検討した。なお、動物の操作はすべてペントバルビタール腹腔内投与による全身麻酔下に行った。一側反回神経を2mm切除し、断端を内径0.2mmのシリコンチューブに固定した。その際、チューブ内に各神経栄養因子を注入した。処置後3週ではNGF群とbFGF群の誘発筋電図潜時は無添加群より短かった。また、両神経栄養因子とも高濃度群では低濃度群よりも潜時が短縮していた。CNTF群は無添加群と差がなかった。処置後5週ではどの群も潜時が3週後よりも短縮していた。処置後3週のbFGF群における再生線維数は他の群よりも多かった。有髄神経線維数はbFGF高濃度群が最も多く、低濃度群が次に多かった。NGF群、CNTF群の再生有髄線維数は無添加群と大きな差はなかった。5週後では3週後に比して線維径が増大し有髄神経線維数が増加した。また、群間に差がなかった。最後に、反回神経に運動線維を送る疑核に分布する神経細胞を観察した。断面積400μm以上の細胞を運動神経細胞と仮定するとNGF群とbFGF群の運動神経細胞数は正常群とほぼ同じで、CNTF群、無添加群よりも有意に多かった。以上の結果から、bFGF高濃度群は脱神経時に局所と中枢の両方に作用し、反回神経に含まれる運動神経線維の再生と疑核運動神経細胞の萎縮防止を促進すると考えられた。
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