研究課題/領域番号 |
14370548
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
黒野 祐一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80153427)
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研究分担者 |
松根 彰志 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00253899)
牛飼 雅人 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00284886)
西元 謙吾 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50305132)
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キーワード | ホスホリルコリン / 粘膜免疫 / IgA / 粘間ワクチン / IgE / I型アレルギー / 上気道感染 |
研究概要 |
1)ホスホリルコリン(Phosphorylcholine : PC)に対する免疫応答 昨年度までの研究で、KLH結合型PCが高い免疫原性を有することを実証したが、キャリアー蛋白であるKLHのその免疫応答への関与を否定できない。そこで、KLH結合型PCに加えてBSA結合型PCでマウスを免疫し、粘膜免疫ならびに全身免疫応答を比較した。その結果、BSA結合型PCでもKLH結合型PCと同様の免疫応答が誘導され、PCのワクチンとしての有用性が示唆された。 2)PC免疫によるI型アレルギーの抑制 粘膜ワクチンの臨床応用において常に問題となるのが、IgA系の粘膜免疫と同時に誘導されるIgE応答である。そこで、マウスに卵白アルブミン(OVA)とアルミニュームゲルを腹腔内投与してI型アレルギーを誘導し、これを対照群として、OVA投与時に同時にPCを経鼻あるいは腹腔内投与した群とそれぞれIgEの産生を比較検討した。その結果、PCの腹腔内同時投与群はOVA単独投与群と比較してIgE値が有意に低値を示し、PC経鼻投与群でも有意差はないもののIgE値が低下した。さらに、ヘルパーT細胞からのIL-4産生は、PC腹腔内投与群が対照群と比較して有意に低下していた。以上の結果から、PCは細菌抗原に対する防御効果と同時にI型アレルギーの発症も阻止しうる優れたワクチンになりうると推測された。 3)ヒトにおけるPCの免疫原性 PCのワクチンとしての実用性を検討するため、急性感染症患者血清中の抗PC抗体価を測定した結果、急性炎症時に抗体価の上昇を認めた。また、滲出性中耳炎患者の鼻咽腔液中の抗PC抗体活性は健常者より低い傾向にあり、PCのヒトにおける免疫原性ならびに抗PC抗体の生体防御効果が確認された。
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