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2002 年度 実績報告書

難治性網膜疾患に対する移植治療の試み

研究課題

研究課題/領域番号 14370553
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東北大学

研究代表者

阿部 俊明  東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90191858)

研究分担者 佐藤 肇  東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10312571)
富田 浩史  東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40302088)
和田 裕子  東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70302130)
岡野 光夫  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
大和 雅之  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40267117)
キーワード細胞増殖因子遺伝子 / 虹彩色素上皮細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 細胞移植 / 加齢黄斑変性 / 網膜色素変性 / 光障害 / 主要組織適合抗原
研究概要

我々はこれまでに、自己の虹彩色素上皮細胞(IPE)移植を培養して、加齢黄斑変性の患者の新生血管抜去後に直接網膜下に移植することをおこなってきた。過去の報告と異なり、拒絶反応を含めた合併症がなく細胞移植は自己IPEであれば安全に施行できることが判明した。そこで移植細胞に遺伝子導入などの操作を加えて、移植が可能かどうか検討した。まずIPEと発生学的に起源が同じと考えられる網膜色素上皮細胞(RPE)にbFGFをはじめとする細胞増殖因子を導入を試みたが、ベクター内の抗生物質耐性遺伝子を利用して目的遺伝子が安定して発現するための細胞を作成することができた。しかもこの場合、導入された細胞増殖因子が誘導する一連の遺伝子の動きがあることが判明した。脳由来神経栄養因子(BDNF)導入と繊維芽細胞増殖因子(bFGF)導入では変動した遺伝子は必ずしも両者で一致せず、個々の導入遺伝子に対して検討が必要であることが判明した。免疫反応の主役をなすと考えられる主要組織適合抗原の発現を誘発する分子の存在も確認された。また、遺伝子導入細胞をラット網膜下に移植しても局所に炎症を誘発することもなく、細胞増殖因子とともに螢光色素でもラベルした細胞の移植では、移植後12週でも網膜下に確認できた。さらに、細胞増殖因子のなかでもBDNFなどを導入された細胞の移植を受けたラットの血清は移植細胞に対して抗体反応を示すことはなかった。
視細胞変性をコントロールできる光障害ラットモデルを作製し、移植を利用して細胞増殖因子の働く部位を制御すれば、光障害による視細胞の変性の進行を部分的に抑制できた。細胞増殖因子遺伝子を導入した細胞を移植に利用して、難治性網膜疾患に再生医療を適応できる可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 阿部俊明: "眼の再生医学 色素上皮細胞を利用した網膜再生医療の可能性。宿題報告III"日本眼科学会雑誌. 106. 778-804 (2002)

  • [文献書誌] 阿部俊明, 玉井信: "網膜・視神経の発生と再生「加齢黄斑変性への虹彩色素上皮細胞の移植」"Molecular Medicine 別冊. 39. 241-248 (2002)

  • [文献書誌] 阿部俊明: "網膜の再生。1.色素上皮細胞移植による網膜再生"眼科診療プラクテイス 眼の再生医学. 91. 114-119 (2002)

  • [文献書誌] Kano T, Abe T, Tomita H, Sakata T, Ishiguro S, Tamai M.: "Protective effect of iris pigment epithelial cells transfected BDNF gene from ischemia and light damage"Invest Ophthalmol Vis. Sci.. 43. 3744-3753 (2002)

  • [文献書誌] Sato H, Wada Y, Abe T, Kawamura M, Wakusawa R.: "Clinicopathologic Reports, Case Reports, and Small Case Series : Retinitis Pigmentosa Associated With Ectopia Lentis"Arch Ophthalmol. 120. 852-854 (2002)

  • [文献書誌] Yoshida M, Abe T, Kano T, Tamai M.: "Two types of optical coherence tomographic images of retinal pigment epithelial detachments with different prognosis"Br. J. Ophthalmol.. 86. 737-739 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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