研究課題
ぶどう膜炎患者の前房水中の浸出細胞からT細胞クローンを樹立して、そのtotal RNAを抽出し、5μgをマイクロアレイを用いて遺伝子発現のプロファイルを検討した。疾患により発現している遺伝子のプロファイルに相違があることがわかった。本邦に多いフォークト・小柳・原田病由来のT細胞クローンではT細胞受容体γ鎖とインターロイキン1受容体2型の発現がサルコイドーシス由来T細胞クローンに比べて5倍以上も高かった。一方、サルコイドーシスではT細胞受容体α鎖の発現が4倍も高かった。ぶどう膜炎患者の眼局所浸潤細胞の採取は、炎症を生じている眼局所への侵襲という観点から限界がある為に、正常のマウス眼球を用いてその遺伝子発現の網羅的解析と、実験的に誘発したマウスぶどう膜炎眼における遺伝子発現とを比較検討した。予備的な実験では、マウス虹彩色素上皮ではT細胞を分化誘導する機能をもつとされるCD86(B7-2)分子をコードする遺伝子群の発現が高くみられた。B7-2分子はマウス虹彩色素上皮細胞に構成的に発現されており、B7-2分子を発現している虹彩色素上皮をT細胞と共生培養すると、T細胞は免疫抑制機能をもつ調節T細胞(regulatory T cell)に分化誘導された。しかし、B7-2分子を発現している虹彩色素上皮の培養上清だけをT細胞に作用されても調節T細胞に分化しなかった。このことからB7-2分子はcell-to-cellの機序でT細胞を抑制T細胞に分化させることが明らかとなった。次年度は、正常マウスと実験的自己免疫性ぶどう膜炎を誘発したマウス眼組織遺伝子発現を比較検討する。
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