研究課題
基盤研究(B)
我々のこれまでの研究により、アデノウイルスベクターなどによる網膜への遺伝子導入は組織障害性があることがわかった。しかし、その中でサルレンチウイルスベクター(SIVベクター)は細胞障害性(電子顕微鏡的観察、網膜電図による解析)が最も少ないことがわかったので、SIVベクターを用いた網膜遺伝子導入実験を行った。その結果、ラット、マウスでは色素上皮由来因子遺伝子導入により網膜変性を抑制できることを見い出した。また、導入遺伝子発現期間は、最短でも360日間という長期であった。これらのことより、SIVベクターによる遺伝子治療は臨床応用が可能と考え、大型動物に対する長期の安全性を探るためにサルに対して、SIVベクターを用いた遺伝子導入実験を行った。サルに対してはヒトと同じように硝子体切除を行い網膜下にSIVベクターを注入した。遺伝子発現は緑色蛍光蛋白(GFP)の発現期間をマーカーとした。一部にごく軽度の炎症を惹起したものがあったが、現在までの所、遺伝子発現は良好で、合併症もなく推移している。これとは別に、超音波遺伝子導入を研究した。Electroporation法は、小動物では優れた遺伝子導入法であるが大型動物では筋肉拘縮などが起こるため、臨床応用は容易ではない。超音波は、臨床応用の長い歴史があり、安全性が確立されている。そこで、超音波と造影バブルを用いた遺伝子導入実験を行った。その結果、角膜・網膜への効果的遺伝子導入が安全に施行できた。この点に関して現在特許申請を準備中である。
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