研究課題/領域番号 |
14370566
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
窪田 正幸 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50205150)
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研究分担者 |
八木 實 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10251802)
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キーワード | 磁気刺激 / 高頻度磁気刺激 / 直腸肛門反射 / 仙骨神経 / 脳腸相関 / ヒルシュスプルング病 / 慢性便秘 / 直腸肛門内圧検査 |
研究概要 |
本年度は、高頻度磁気刺激装置の動物慢性実験による安全性の確認とヒトへの応用を行なった。 I.慢性動物実験 家兎を用いた動物実験では、最高10秒間の高頻度磁気刺激に対し、ケージ内の運動や摂食行動などに変化は認められず、長期的にも体重増加や成長などにも変化は認められなかった。組織学的にも刺激部は対照部と全く変化なく、急性並びに慢性的な問題点はないものと判断した。 II.臨床検討 ヒトへの応用では、直腸肛門内圧測定法を用いて仙骨部を高頻度磁気刺激(10Hzまたは15Hzで1秒間刺激)した際の直腸肛門部の反応を検討した。刺激には局性性に優れた8の字コイルを用いた。 現在まで21例を検討することができた。内訳は、直腸肛門奇形4例、慢性便秘8例、ヒルシュスプルング病6例(術前2例、術後4例)、MMIHS(Megacystis Microcolon Intestinal Hypoperistalsis Syndrome)1例、便失禁症2例である。5歳未満の症例は鎮静剤を用いて就眠下に検査を行なった。覚醒者においても、仙骨部刺激に対する痛みや不快感などの刺激に伴う合併症はなく、長期的な経過観察でも副作用は認められなかった。 慢性便秘症の8例では全例直腸肛門反射が正常に認められたが、磁気刺激に対しては7例で反応が認められ、1例では反応が認められなかった。反応の出現した7例では、直腸部では全例内圧上昇が見られたが、肛門管部では圧上昇とそれに続く緩やかな圧下降を示したものが6例、上昇反応のみが1例であった。ヒルシュスプルング病の術前2例では、直腸肛門反射は陰性であったが磁気刺激には直腸部と肛門管部の圧上昇が見られた。ヒルシュスプルング病術後の4例は、直腸肛門反射の認められた2例では磁気刺激に対し圧下降が出現したが、その他の症例では無反応と収縮のみが各1例認められた。 本法は直腸肛門部の反応を有効に惹起することができ、仙骨神経と直腸との機能連関検索に有用な方法と考えられた。
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